『東京ドームでコンサートをすること』
それは若手ジャニーズが一度は掲げる大きな目標であろう。
デビュー時からすぐにドーム公演をするグループもいれば、コツコツと何年も活動を続けて念願叶ってドーム公演に辿りつくグループもいる。5万5千のペンライトに囲まれて単独コンサートをする景色はさぞ美しいものだろう。
では、東京ドーム公演を行うための人気のボーダーとは、一体どこなのか。
今回はそれを、シングル売上枚数という観点から調査していきたいと思う。*1
ちなみにこの調査の発案は姉、調査実施と結果執筆は私つきしろでお届けします。スペシャルサンクス:姉。
※個人の調査のため、データの間違いなどあるかもしれません。あくまでお遊びとして、広い心でお読み頂けると嬉しいです。
1.各グループの基本データ
①初ドーム公演*2時のシングル売上
まずは、ドーム公演経験済のグループの基本データと、初ドーム公演時のデータを見ていく。
※色分けは、橙が5大ドームツアー経験グループ、緑が未経験グループ
※関ジャニ∞に関しては初ドーム公演は京セラドーム公演のため、京セラ公演時の情報を記載
デビューがアルバムだったタッキー&翼、デビューシングル発売前にドーム公演を行ったKAT-TUNを除き、全グループ共に初週売上枚数が20万枚を超えていることが特筆すべき点であろう。
SMAPは「青いイナズマ」、嵐は「Love so sweet」、NEWSは「weeeek」と各グループの最大級の代表曲とも言うべき楽曲が初ドーム公演の直前にリリースされていることが多いのも興味深い。各グループのその当時の勢いの強さが感じられる。
②初5大ドームツアー時のシングル売上
次に、ジャニーズアイドルにとってさらに大きな夢であろう5大ドームツアーを初めて行った当時のシングル売上についてもデータを出しておく。
③過去3年以内にドーム公演を行ったグループ+若手グループの最新シングル売上
さらに、過去3年以内にドーム公演を行ったグループと、東京ドーム公演の尻尾を掴まんと今まさに切磋琢磨している若手グループ3組の最新シングル売上データもここに提示しておく。
※斜字はDVDシングル
NEWSは最新シングルがDVDシングルのためCDとは同列に考えにくいかもしれない。NEWSのCDシングルで最新のものは「チュムチュム」の12.4万枚のため、近年も継続してドーム公演を行っているグループに関しては、大体10~15万枚前後以上の売上が安定してあるのではないかと推測される。
さらに、今もなおコンサートのチケットが非常に取りにくくこの年末もオリコン11冠の記録を叩きだした嵐の飛び抜けたシングル売上枚数の多さ、今年一年飛ぶ鳥を落とす勢いで活動し年末は京セラドームで初の単独カウントダウン公演が決まっているHey! Say! JUMPと同じくまだまだ勢いの続くKis-My-Ft2の売上が他よりも頭一つ出ているのも印象的である。
近年事務所が力を入れている若手といえばHey! Say! JUMPとKis-My-Ft2の印象が強いが、やはり事務所が推す理由は売上に裏打ちされているのかもしれない、という仮説が現実味を増してくる。
2.グループ毎の歴代初週売上データ詳細
ここからはグループ毎にデビューシングルから現在に至るまでの初週売上データを少し詳しく見ていく。尚、ここから取り上げるのは先程触れた「過去3年以内にドーム公演を行ったグループ」と「まだドーム公演を行っていない若手3グループ」を取り上げていく。
また、表の中で色分けがされているのは、先程と同じように緑が初のドーム公演直前シングル、橙が初の5大ドームツアー直前シングルを指す。
ここからの表には「1種平均値」というデータが出てくる。これは初週売上を発売形態の数で割った数字である。最近は発売形態の多いものも多々あるので、ここから先は売上の1種平均値をメインに論じていく。
①SMAP
SMAPはデビューから約5年後である「青いイナズマ」発売後に初のドーム公演、デビューから約10年後の「Smac」発売後*3に初の5大ドームツアーをスタートさせている。
初のドーム公演直前の数枚を見てみると、1種平均値は全て15万枚を超え、大体20~30万枚。そこから5大ドーム公演までの間もほぼその売上はキープし、「夜空ノムコウ」や「らいおんハート」などの大ヒット作もこの期間に発表されている。
「青いイナズマ」の1種平均は24.7万枚、「Smac」は10万枚。「Smac」はアニバーサリーシングルということで一般層の購買が少なかった?のか売上は少ないが、その前の「らいおんハート」の1種平均は41.5万枚である。*4
現在は発売形態が多いからか1種平均値は下がっているものの、大体1種につき4~5万枚程度の売上はキープしている。
KinKi Kidsはデビューから約1年半後の「Happy Happy Greeting/シンデレラ・クリスマス」発売後に初のドーム公演、デビューから約5年半後である「solitude 〜真実のサヨナラ〜」発売後に5大ドーム公演を実現している。
「Happy Happy Greeting/シンデレラ・クリスマス」の1種平均は20.2万枚、「solitude 〜真実のサヨナラ〜」の1種平均は10.56万枚となっている。その間の期間には「フラワー」「僕の背中には羽根がある」「カナシミブルー」などSMAPと同様グループの代表作が多く発表されている。
現在も1種平均5万枚を切ったことはなく、CDが売れない時代と言われつつも安定感を見せているグループと言えるかもしれない。
③嵐
嵐の初のドーム公演はデビューから約8年半後の「Love so sweet」発売後、初の5大ドームツアーの実現はデビューから約9年半後の「Step and Go」の発売後である。
1種平均値は「Love so sweet」が10.2万枚、「Step and Go」が16.2万枚。その間には代表曲の一つと言える「Hapiness」、5大ドームツアー実現後であるが「One Love」も近い時期に発売されている。
嵐と言えばその名を広く世間に轟かせたのはドラマ『花より男子』であろう。花より男子の主題歌は、ドラマ1期が「WISH」、ドラマ2期が「Love so sweet」、映画が「One Love」とどれも世間的認知度が比較的高い曲となる。売上で見ても「WISH」は前作「サクラ咲け」と比べて1種平均値が3万枚程度上がっており、「Love so sweet」では5年ぶりに1種平均値が10万枚を超えるなど、売上にドラマの影響が強く表れていると考えていいだろう。
現在に至るまでも1種平均は20万以上をキープしており、嵐の支持の圧倒的な厚さが伺える。
関ジャニ∞は関西発のグループであるため、デビューから約2年半後にドーム公演が東京ドームよりも京セラドームで先に実現している。当時の最新シングルは「関風ファイティング」、初の5大ドームツアーはデビューから約7年後の「ツブサニコイ」発売後だ。
ちなみに初の東京ドームは、京セラドーム公演の半年後の2007年8月4日であるため、その時の最新シングルは「ズッコケ男道」となる。
1種平均値を見ると、「関風ファイティング」は13.2万枚、「ツブサニコイ」は7.6万枚である。
関ジャニ∞に関しても先程見てきた3グループ同様、初のドーム公演から初の5大ドーム公演までの間に「ズッコケ男道」「無責任ヒーロー」「LIFE~目の前の向こうへ~」といったグループの代表的な曲がリリースされている。関ジャニ∞は初期にはドラマタイアップがあまりなく、「LIFE~目の前の向こうへ~」が初のドラマタイアップ曲・さらにこれまでは楽しい曲のイメージが強かった彼らだが"バンドの関ジャニ∞"を世に広く知らしめたのもこの曲であろう。
⑤NEWS
ここからはドーム公演を行っているが5大ドーム公演はまだ行っていないグループについてみていく。
まずNEWSの初のドーム公演はデビューから4年と少し後。直前シングルは「weeeek」で1種平均値は13.1万枚である。その前後(2007年~2010年)も1種平均は10万枚を安定してキープしている。
チャンカパーナ以降は1種平均4万枚台で安定している。他グループに比べ近年の売上枚数に大きな波がないのは、深夜以外のドラマ等のタイアップが少ないからだろうか?*5*6
KAT-TUNはデビューシングル「Real Face」発売直前にドーム公演を行っているため、厳密にいえば公演直前シングルはないが、最も近い時期に発売されたシングルである「Real Face」を見てみると1種平均値が10.77万枚となる。
KAT-TUNは2011年5月から始まる5大ドームツアーを予定していたが、震災等々の影響で中止されている。もし5大ドームツアーが行われていたら、その時の最新シングルは「ULTIMATE WHEELS」か「WHITE」になっていただろう。
その後は売り上げは多少上下しつつ、現在は1種平均5万枚前後に落ち着いている。
Hey! Say! JUMPは「Ultra Music Power」をリリースした翌月にドーム公演を実現させている。この曲の1種平均値は8.2万枚となっている。
定期的にドーム公演を行っている彼らは、ここ数年の売上を見ても1種平均5万枚前後をキープしている。
今年の年末には初の単独カウントダウンコンサートを京セラドームで行うことが決定されたが、ちなみに直前シングルである「キミアトラクション」は初週売上20万枚、1種平均6.77万枚となり、前作「Chau#/我 I Need You」から大きく増加している。この2曲のリリースの間には『嵐のワクワク学校』出演、『24時間テレビ』初パーソナリティ、初冠番組『いただきハイジャンプ』レギュラー化など彼らの名を広く知ってもらう機会が多かったように思う。
再来年に10周年イヤーを控えたHey! Say! JUMPの勢いが今加速し始めていることを窺い知ることができる結果ではないだろうか。
Kis-My-Ft2もデビューシングル「Everybody Go」リリース直後にドーム公演を実現させている。
発売形態の多かった「Thank youじゃん!」はどうしても1種平均値は下がってしまうものの、それを除けばほぼ全て*7のシングルで1種平均5万枚の売上は確保していることが分かる。
さて、ここからはドーム公演を行ったことのないグループのデータとなる。
まずはSexy Zone。3人体制で発売したシングルは軒並み1種平均値は下がっているものの*85人体制でのシングルは1種平均3万枚前後となっている。
最新シングル「カラフルEyes」は1年半ぶりの5人体制のシングルのためご祝儀の気持ちを含めた購買があるかもしれない点、ファンミーティング応募券が封入されている点を鑑みるとなかなかこれだけで論じづらいところはあるものの、5人体制のシングルを見てみるとある程度一貫した数字は出せているだろう。5人体制が再び安定してきた頃の売上にも期待したい。
A.B.C-Zは最新シングル「Moonlight Walker」のみCDでのリリースがされており、それ以前はシングルDVDという形でのリリースであった。
最新シングル「Moonlight walker」は売上枚数は突出して多いが、発売形態が多かったため1種平均値はさほど伸びなかった。ただ1stCDシングルということで全種類購入、ご祝儀買い、オリコン計上のための買い足しもあったと思われ、過去作の売上を見ても、発売形態の多さに大きく左右された数字ではないと考えられる。
ジャニーズWESTはデビューシングルの「ええじゃないか」は突出しているものの、その後は1種平均値3万枚前後となり、さらに徐々にではあるが「ジパング・おおきに大作戦/夢を抱きしめて」~「バリ ハピ」の3作を見ると1種平均値も増加を続けている。
年明けから始まるツアーに関しても追加公演がいくつか発表され、1日3回公演の日もある。順調に人気をつけていっていることが伺えて、今後の展開が楽しみなグループと言えるだろう。
3.「東京ドーム公演」のボーダーとは?
さて、ここまで11グループの売上の変遷について見てきた。
ではここから分かる「東京ドーム公演」のボーダーとは一体何なのか?このデータから見えてくるものを、2つ挙げてみる。
①初のドーム公演を行った時点での初週売上1種平均値は、10万枚を超えていることが多い
②ドーム公演を現在も定期的に行っているグループの初週売上1種平均値は、最低5万枚前後をキープし続けている
年々CDが売れない時代になってきており、今回データを出したグループがドーム公演を行った時点よりもCD売上はより厳しいものとなっているかもしれない。
しかし、このデータから見えてくる一つの数字に注目したい。『5万』である。
東京ドームの収容人数は5万5千人。そしてドーム公演を現在も定期的に行っているグループの初週売上を見てみると、1種平均値が5万枚前後は最低限キープし続けている。
ここから、初週売上の1種平均値≒シングルCDをしっかり買う熱心で能動的なファンの人数、ととることができるのではないか。
勿論コンサートに行くようなファンでもシングルCDを全種買う人、初回盤のみ買う人、通常盤だけ買う人、あるいはコンサートは行くけどCDは買わない人など様々いるだろう。逆にコンサートは行かない/行けないけれどCDだけ買う人も多くいると思われる。
コンサートには友達と一緒に行く、ということも間々あり、あんまり興味ないけど誘われたから来ましたという層も多いだろう。
それら全てをひっくるめて、ドーム1公演確実に埋まるという保証=初週売上1種平均値が5万枚ということになるのかもしれない。
つまり、1種平均5万枚を常に超えるようになってきたらドームの尻尾が見えてくる。そう言えるのではないだろうか。
普通の売上で言うと、2種展開なら最低10万枚、3種展開なら最低15万枚売れたら、というところか。今のJUMPやキスマイの売上を見た感じだと、20万枚超えると売れてきたなという感じがする。個人的な印象だけれど。
ついでに5大ドームツアーに関しても。
今回データを見ていて印象的だったのは、売上以上に初ドーム公演かから初5大ドームツアーを行う間にそのグループの『代表曲』というべき曲がリリースされているということだった。SMAPで言う「夜空ノムコウ」「らいおんハート」、KinKi Kidsで言う「フラワー」「僕の背中には羽根がある」「カナシミブルー」*9、嵐で言う「Hapiness」、関ジャニ∞で言う「ズッコケ男道」「無責任ヒーロー」「LIFE~目の前の向こうへ~」。
それはつまり、グループが全国区になり、世間に広く浸透したということ。『あのグループと言えば』というイメージが形成され、『ジャニーズの誰か』ではなく『ジャニーズのあのグループ』へと変化していく過程を踏んだグループと言えるのではないか。
グループが全国的に広く浸透し人気が出てくると、東京や大阪などの大都市以外でも集客も見込めるようになる。特にCDを買うような熱心なファンでなくとも、『○○のコンサートなら曲知ってるし、楽しそうだし、行ってみようかな』という気持ちになる人も多いだろう。
東京ドーム公演は世間的認知度が多少低くても、あらゆる場所から熱心なファンを集めてくれば実現可能なものかもしれない。しかし5大ドームツアーとなると、全国各地の広く浅い層へのリーチもするほど大きくならなければ実現不可能である、という新たなハードルが見えてくるのだ。
『東京ドーム公演』というハードルについて、データを見ていくと思っていた以上に具体的なハードルが見えてきて、集計・考察をしていてとても興味深かった。
Sexy Zone、A.B.C-Z、ジャニーズWESTは共に目標の一つとして『東京ドーム公演をしたい』と明言している。おそらく次の東京ドーム公演の切符はこの3グループのどこかが手にするであろう。
さらに5大ドームツアーの切符も、また新たに手にするグループがそのうち現れるかもしれない。今後の各グループの動向がとても楽しみな、2015年年末である。
*1:アルバム売上枚数についても何グループか集計してみたが、シングルの方が分かりやすい結果が出たため今回はシングルのみを対象として考察する
*2:京セラドーム含む
*3:正確には発売日
*4:1種展開だから平均もなにもないんだけど
*6:他グループを見ると、ドラマタイアップがあると比較的売り上げが伸びやすい傾向がある?
*7:「We never give up!」はギリギリ届かない1種平均4.9万枚
*8:「君にHITOMEBORE」はポニカ2種としているが、キャンペーンでそれを沢山買うことになる商法があったので、1種平均の計算式では測りづらい部分がある。それがなければ、5人曲よりも1種平均値はさらに下がると思われる
*9:正直キンキの最大の代表曲はデビュー曲の「硝子の少年」という感じだけど