You are Entertainer. ―― ABC座ジャニーズ伝説2017

2017年の年始から夏にかけて、A.B.C-Zは5人がそれぞれに個人で外部の舞台に立っていた。シェイクスピア物語、Defiled、サクラパパオー、のど自慢、デストラップ。これはA.B.C-Z個人舞台を順番に観て最後、橋本くんのデストラップの観劇を終えた後、約半年間の個人舞台期間を振り返っての私のツイート。

 

今年の秋もABC座の幕が開いた。今年も例年通りABC座が観劇できる10月、ありがとう。今年のABC座の演目は2014年の再演以来の「ジャニーズ伝説」。ジャニーズ伝説の再々演。初演と再演ではファンタジックなフィクション要素も入っていたところを排除して、今回は極力真実に近い話に再構成したという形。

 

内容の話とか考察とかは他の方にお任せして(内容は言わずもがなとってもよかったです!)、私が一番心に残った点の話がしたい。それは、5人の演技とパフォーマンスのこと。

前回の上演は2014年5月。あの時点で外部舞台に出たことがあったのは、戸塚くんだけだった。2014年のジャニーズ伝説再演以降、5人はそれぞれに外部舞台で主演を果たし、グループから1人飛び出して舞台の上にも立ってきた。ドラマにも出た。演技だけじゃなく様々な仕事も経験してきた。

パンフレットなどでメンバーは「(同じ演目だから成長がより分かりやすいと思うので)前回よりも成長した自分たちを感じてほしい」というような話をしていた。そして実際、私はものすごく驚かされた。

 

橋本くん。細かい感情の機敏の表現がどんどん上手くなっているし、3年前よりも安定感がものすごい。どうしても舞台に立ってきた期間は5人の中では一番短いけれど、本当に全く引けを取らない。橋本くんの演技が好きだなあと思う。

そして演技だけじゃなく、歌!!歌なんですよ!!橋本くんが歌が上手いというのはずっとだけれど、ただ「上手い」だけじゃなく、役柄、楽曲に合わせて歌声が違う。表現力がもうめきめきと上がっている。これはコインロッカーベイビーズ以降ずっと感じている。コイベビは本当に大きかったんじゃないかなあと思う。橋本くん演じるあおいさんは歌が上手い。「歌が物語を動かす」話は歌唱力や表現力に説得力がないと、歌で観客の心を動かす力がないと難しいという話はコイベビを観た時も安田くんの俺節を観た時も私は散々したけど、やはり橋本くんの歌にはその力が宿っている。どんどんそれが強くなっていると感じる。歌で人の魂を震わせるようになった橋本良亮は絶対最強だ。

 

戸塚くん。前回のジャニーズ伝説上演以降も毎年舞台に立ち続け、ドラマや映画にも出演を果たした我らが演技番長。今回戸塚くんはジャニーさんとバリーディボーゾンの2役を演じていたけれど、ジャニーさんがハケて直後のシーンでバリーディボーゾンが出てきた時、その声色や雰囲気がガラッと変わってすごく驚いた。お茶目な一面も見せるジャニーさんから、髭を拵えたダンディーなバリーディボーゾンへ、ほんの僅かな時間で。これが演技力というやつなんだな…!と実感した。戸塚くんの演技力は知っていたつもりでも驚きが戸塚くんの舞台を観る度に更新される。前回のジャニーズ伝説でもそうだったし前回も思ったけど、一つの作品で何役も演じ分けられる戸塚くんの演技力はやはり素晴らしい。A.B.C-Zの舞台に戸塚祥太がいる強さ。

戸塚くん演じるジャニーさん、我々はジャニーさんに会ったことがないはずなのに、「ジャニーさんだ…!」って思えるのが面白い。戸塚くん演じるジャニーさん、私が勝手にイメージしているジャニーさんとぴたりと一致して、ジャニーさんという存在が我々の中に共通イメージとして内在化されているのも面白いし、戸塚くんの演技の絶妙さも想った。静と動のバランスがすごく好き。

 

河合くん。私はステージの上にいる河合くんが本当に本当に大好き。ステージの上にいるのが楽しくて仕方ない!この仕事が大好き!っていうのがニッコニコのキラキラの笑顔から、ダンスのひとつひとつから溢れ出している姿が大好き、と、今年も強く思った。

そして演技という面でも、表現力の幅がすごく広くなったように思う。橋本くんの話でも言ったけど、感情のグラデーションの中の微妙な色合いの表現が上手いなあと思った。数年前河合くんは特に女性との恋愛シーンなどを演じるのに恥ずかしさがあるという話をしていたけれど、コインロッカーベイビーズを経て、演技が楽しいと言うようになった。日本への帰国が決まった旨を告げるシーンの激しい感情の動きなど、河合くんの中にあった恥じらいの殻はもうないんだなと思った。すごくすごくよかった。

あと、ジャニーズを解散すると決めてそれぞれ一人になり、ステージが下に下がっていくときに、河合くんの表情が泣いているという話を聞いた。私は結局しっかりと確認することはできなかったのが残念だけれど、昨日の夜公演、ステージが下がっていく瞬間河合くんが俯いたのが見えて、遠目でもそれだけですごくぐっときてしまった。細部まで、一瞬一瞬を大切に演じる河合くんの演技、好きです。

 

五関さん。応援屋の時も思ったけれど、言葉も歌もなくただ踊るだけであんなにも人を惹きつけてやまない、心を揺さぶる五関晃一のダンスはとてつもない。橋本くんの歌が人の魂を震わせるならば五関さんにとってのそれはダンスだ。五関さんのダンスが本当に好き!Sing Sing Singで踊る五関さん大好きなので今回も見られてめちゃめちゃ嬉しかった。あまりに美しいダンスで何度でも見入ってしまう。

そして私はファウストの時からずっと思っているのが、舞台の上での五関さんの「声」がすごい。激しい感情と共に台詞を吐き出す時の、劇場の空気を切り裂くような鋭い声色がものすごく舞台に映える。去年の応援屋もそうだし、シェイクスピア物語でもそうだったけれど、今年のえび座ではまた一段とすごかった。1幕ラスト、俺は日本に帰らないと言う真家(塚田くん)に「辛いのはお前だけじゃねぇ!!!」と怒鳴る飯野(五関さん)、このシーン、この台詞は何度見てもハッとさせられるしびりびりくる。本っ当に、こういう瞬間の五関さんの声がたまらなく好きだ…。舞台に立ち続けるべき人だと改めて思う。

 

塚田くん。もうね、立ち居振る舞い、表情、ダンス、歌、演技、その一瞬一瞬が好き。好きじゃない瞬間がない。私は塚田くんの演技が大好きだということはもう何度も何度も言っているけれど、塚田くんの演技は年々さらに上手くなっていると今回のえび座を観て改めて思った。昨年の応援屋でも桂馬さんに将棋を続けてほしいと懇願するシーンをはじめ塚田くんの演技やっぱりいいなあ好きだなあと思っていたのだけれど、今年はそう感じるシーンがもっと増えて、その思いはもっと強くなった。

特に好きなのは、日本への帰国を告げられて「俺は帰らない」と言うシーンと、ジャニーズ解散の話が持ち上がった時の「俺はもっと先へ行ってみたい」「そんな簡単に解散なんて言うなよ!」と一人解散に反対するシーン、その後の「俺たち幸せすぎたのかもな」のくだりも。単純な喜怒哀楽じゃない、複雑に絡み合った感情が声色や表情から滲み出ていて、塚田くんの演技の引き出しがどんどん多くなっていることに塚田くんの演技を見る度に驚かされる。

そして昨日の公演では、塚田くんの演技が少し変わっていた。4月になってもアメリカに渡れないジャニーズ、というところで先週までは力なくぼうっと椅子に座っていたのが塚田くんは、昨日は椅子に座ったまま項垂れた。あおいさんと橋本くんが歌うシーンで、最初は項垂れたまま、そして顔を上げてコーラスに参加する(ここ少し曖昧なのでタイミング間違ってたらごめんなさい)。そしてその後の「俺たち幸せすぎたのかもな」の言い方。先週までは場の空気を変えるみたいに自分に言い聞かせるみたいに声を大きくして言っていたのが、昨日は静かにぽつりと、噛みしめるみたいに言っていた。真家の明るい声が響かなくなったシーンは解散ということの重みがこれまで以上にじわりと滲んでいくようだった。その後の戸塚くんの「君達が自分で決めたことならば僕は文句は言わない。いや、誰にだって文句を言う権利なんてないさ」も先週までよりも言葉一つ一つを丁寧に重みを持った響きになっていて、この変化は戸塚くん自身だけのことなのか、それとも先の塚田くんの演技の変化からの影響なのか、と考えた。そして後半日程ではっと変わる塚田くんの演技に、ボク穴千秋楽で演技が一気に変化した塚田くんのことが少し頭に過ったりした。役者・塚田くんが好きだし、目が離せない、面白い人だと改めて。

 

私の今年のえび座観劇は初日から始まり、その後大体一週間おきくらいのペースで観劇した。

これは私がA.B.C-Zのファンとして初めて5人の冠がついた現場に足を運んだ時、ABC座2014 ジャニーズ伝説を観た時からいつも思っているのが、5人のステージはいつだって全力だ。例え連日公演が続いていて休みがなくても、昼夜2公演の日でも、どれだけ忙しい時期でも、なんでもない日の公演でも、100%、いや120%のステージを見せてくれる。手を抜くことを知らない。いつ観に行ってもびっくりするくらい全身全霊のステージを見せてくれる。そんなA.B.C-Zのことを知っていてもいつでも新鮮に感動してしまうくらいに。

いやむしろ、彼らは公演を重ねるごとにダレるどころかどんどんギラギラしていく。ある日の公演、一番最後のNever My Loveの時に双眼鏡の視界の端に映った河合くんの目がものすごく楽しそうでステージに立つことに対して貪欲なギラギラした目をしていて、あああ私の大好きな河合くんだ…!!!と思いながら一人一人を双眼鏡で見ていたら5人全員がギラギラした最高にいい目をしていて最高にシビれた。

そして昨日。公演開始からちょうど2週間。2幕後半のショータイム、5BOXの5人の集中力、魅せる力。5BOXのパフォーマンスそのものもそうだけれど、5BOXの中でパフォーマンスをする生身の5人の姿が何よりも美しくて崇高で神聖なもののようにさえ感じられた。緊張の5BOXが終わった後に戸塚くんが叫ぶ、「ッカモン!ユーゲッゲッゲッゲッゲルマイハッッ!!!!!」、昨日は溜めて溜めてパワーを爆発させるみたいな言い方で、なんていうかすごい…ぐっときた…。からのテレパシーOne! Two!、Za ABC~5stars~。あの5BOXを経てもまだまだ踊る、この人たちの体力どうなってるの!!!!!?って本当意味が分からない。しかも全力なんですよ、全力も全力。5BOXの緊張から解き放たれた開放感もあるかもしれないけど笑、それでもMステで1曲踊るだけでも息を切らしていたテレワンをこの流れでキレッキレで楽しそうなキラッキラの表情で歌い、踊り、塚田くん中心に元気に飛び跳ねて会場を煽っていく。

一番最後のNever My Love。先程までの元気なダンスとはまた変わって、キレはそのままに、爪先までぴんと意識を張り巡らせた繊細で美しいダンス。その無駄のない美しい動きに見惚れ、歌声に聴き惚れ、間奏のダンスが素晴らしくてまた見惚れ。そして昨日は5人ともさらにスイッチ入ってたというか脂乗ってたというかもうなんていうかすごかったすごいよかった。表情も、歌声も、ダンスの動きひとつひとつも。特に戸塚くんがすごくて、スタンドマイクを抱きしめたり投げキスしたりもう素晴らしく絶好調だったすごかった。

 

本当、この人たちはとんでもねぇな、と思わされた。そういえば昨年の応援屋だって後半日程のサポーターズはどんどん力強さを増していっていたなと思い出す。客席から見ながら、武者震いが止まらなかった。

 

今年のABC座の中で、ジャニーズが悲しき雨音を戸塚くん演じるディボーゾンの前で踊って見せた翌日、ディボーゾンがジャニーズに「昨日の君たちは素晴らしいエンターテイナーだった」と言うシーンがある。

その言葉を借りるならば、A.B.C-Zも、心底エンターテイナーだな、と思う。

「水を得た魚」ということわざがあるけれど、多分それと「ステージの上のA.B.C-Z」は同義だ。ステージの上のA.B.C-Zはとんでもない。A.B.C-Zのステージが素晴らしいのは弛まぬ努力に裏打ちされたスキルの高さや仕事に対する真摯な姿勢なども勿論そうだけれど、何よりも彼らが魂レベルでエンターテイナーであるからだと思う。

えび座期間中は休みらしい休みもないだろうし、約2時間半の公演で演劇にショーに新装置、疲れていないはずがない。けれど彼らの目はどんどん輝きを増す。いつだって楽しくて仕方ないという様子でステージに立つ。ステージの上にいる時の彼らはステージの上の輝きや、観客の期待の目、手拍子や拍手(コンサートであれば歓声)が栄養源なんじゃないかもはや主食なんじゃないかレベルで、ステージの上で舞台のきらめきや観客のワクワクを飲み込んで巻き込んでどんどん自分たちの輝きを増大させていく。彼らの頭の先から爪の先まで、全身にきっとエンターテイナーの血が流れている。私はそんなA.B.C-Zのとてつもないエンターテイナーの血、魂、を感じる度に、ぞくぞくして仕方ない。とんでもねぇ人たちを好きになってしまったと思う。最高だ。

 

そしてA.B.C-Zはただのエンターテイナーではない。舞台の一番最後の最後、挨拶をした後にNever My Loveの大サビをもう一度歌う。まだカーテンコールというわけではない、誰が指示したわけでもないけれど初日から自然と観客が一人、また一人と立ち上がった。最後は劇場全体で立ち上がって、みんなで手拍子をして会場がひとつになって、アウトロと共に幕が下りる。あの空間の多幸感といったらない。

今年のツアーでも強く強く思ったし、応援屋もそうだったし、A.B.C-Zを好きになってから何万回何億回も思ったけれど、A.B.C-Zには、A.B.C-Zのステージには「幸福」がある。A.B.C-Zのステージはいつだってたくさんの幸福がその空間に充満する。びっくりする。びっくりするくらいに幸福なんだA.B.C-Zのステージって。

 

A.B.C-Zのステージは最高のエンターテインメントであり、そして溢れんばかりの幸福をくれる世界。A.B.C-Zの5人でひとつのエンターテイナーがつくりだすのはそういうステージ。ということを、改めて思った今年のABC座でありました。

 

前回の上演から一人一人がまた大きく力をつけて再びつくりあげたABC座ジャニーズ伝説。一人一人のスキルアップをものすごく感じたし、一人一人がすごくすごく輝いていた。本当に5人とも前回よりも何回りも大きくなっていて驚かされた。それぞれ主演を務められる、舞台から絶えずお声がかかる、そんな5人が集結したこのABC座はものすごく豪華で贅沢なことだと思った。

これから先どんどん忙しくなっていくかもしれない、ABC座のチケットも今後もっと取りづらくなっていくかもしれない。でも、A.B.C-Zというエンターテイナーはステージの上に立っていなければいけない、とあのステージを目の当りにしたら思わずにはいられない。

 

 

今年も最高の秋でした。日生劇場、またきっと来年!お会いしましょう!