“白”という運命、或いは覚悟の話——NEWS 20th Anniversary LIVE 2023 NEWS EXPO

※本記事はNEWS 20th AnniversaryLIVE 2023 NEWS EXPOのネタバレを多分に含みます。未見の方はご注意ください。

※一公演見た記憶頼りに書いているので、細部は間違っている可能性もあります。ご了承の上、ニュアンスでお読みください。

※また、本記事内で指すあらゆる感情や環境の話について、現在の事務所を取り巻く状況は考慮せずに書いています。この件について、私個人としては簡単に「試練」のような「物語」に組み込んでしまうことに対し危うさを感じており、そのように受け取られることは本意ではないためあえて書かせて頂きました。

 

NEWSといえば、白。

そのイメージはNEWSのことをある程度知っているオタクには共有されているのではないかと思う。それはYou&JというかつてのNEWS、関ジャニ∞KAT-TUNの合同ファンクラブ3グループの対比としてもよく用いられる。関ジャニ∞はカラフルで、KAT-TUNは黒、そしてNEWSは白。

その「白」のイメージはどこからだったのか、途中乗船のファンであり今は少し遠くから眺めている立場の私は正確には書き記せないのだが、とにかく私がNEWSに興味を抱いた頃には「NEWS=白」だった。それは私のNEWSコン(後にこれをきっかけに沼に落ちる)であった「NEVERLAND」の会場に入ったときも、上から見た客席の服装が白がめちゃくちゃ多くて面白かったりした。

別に、普段から白を強調してるグループというわけでは全然ない。だけど、NEWSというグループを色に例えると?と聞かれたら私は迷わず即答するだろう。

「白」だ、と。

 

「NEWS EXPO」横浜アリーナ公演に行ってきた。前回の「音楽」がめちゃめちゃはちゃめちゃに良いライブだったので、今回はとにかく期待しかしていなかったのだが、やはり楽しかった!!!!!!

今回は20周年ということもあって、アルバムの新曲もありつつ、懐かしい曲も端々でたくさん盛り込まれたライブになっていた。

 

私はNEWSコンの演出、特に1曲目の入り方がいつもめちゃくちゃ好きなのだが、今回も度肝を抜く登場の仕方でウワーッ!最高!!!!!!ってなって加藤さんの衣装がヘキに刺さりすぎて倒れるかと思ったり、などしつつ……………(ハットにチョーカーに指抜き片手袋????ヒイ………………………)

私のNEWSに対する複雑な感情は2020年から2年かけてようやく噛み砕いて、「音楽」で完全に昇華したつもりなので悪い引きずり方はもうほぼしていないつもりなのだが、流石にNEWSニッポン、からのフルスイング、からのさくらガールはちょっときた。涙腺に。いろんな思い出が蘇ってさあ…

からの希望〜Yell〜…と思っていたらクローバーとのリミックスだったのでひっくり返るかと思った。

あの年に、ライブで聴くはずだったクローバー。

ライブを楽しみに音源をたくさん聴いた、そしてまだ先のことが見えない時期に配信で泣きながら聴いた、私は行かなかったし見なかった(あの頃の精神状態では勇気が無くて見られなかった)「STORY」のライブできっと歌われたクローバー。

そしてその後に「NEW STORY」まで歌われたもんだからまたウワアアーーってなっちゃったな。

私はもうこれらの曲を生で聴くことはないんだろうって思っていたから本当にびっくりした。そして、「NEW STORY」ではファンも歌うパートがあって………3年前、本当はこれがやりたかったのかなあって。もし予定通りに開催されていたらやりたかったことだったのかなって思ったら、いままた声出し解禁になったタイミングでできてよかったなって気持ちになりました。

 

今回のライブは20周年ということもあって、振り返りの演出として、2019年のライブ「WORLDISTA」でも登場したネオエレクトロニックワンダーステイト社——あの頃はライブの鍵となる“WORLDISTA”を開発した会社が、今回は我々がNEWSの旅路を振り返る、時空を飛び越えて行く手伝いをしてくれる。

話は一気に終盤に飛んでしまうのだが、2017年のライブ「NEVERLAND」の案内人も最後に登場して私達を再び導いてくれる。

そして「We are Team NEWS」の映像では、EPCOTIAで出会った異星人たちも出てくる。NEVERLANDの汽車も、EPCOTIAライナーも。

途中ではまさかのチラリズム(!)も、青いベンチ(!!!)まで歌ってくれて本当にびっくりした。

彼らは全部自分たちの歩んだ道だと、持っていってくれるんだなあ、という気持ちになった。

 

前回の「音楽」ではこれまでの経験は下地にしながらも別の章というか、新しい作品として3人のステージをつくりあげてくれたことが嬉しくて、ほっとして、あのタイミングであのツアーだったことに意味があると思っていて。でも、今年のこのステージは一度「音楽」を経たからこそ私は受け止められた気がして。

「“今”の3人のNEWSのステージ」を楽しむことができたから、「これまでのNEWSの歴史を背負う3人のNEWS」をすっと受け止めて楽しむことができた気がします。

端的に言えば、わたしは『亡霊』にならないままで楽しむことができた。

 

「生きろ」も、「夜よ踊れ」も、「フルスイング」も。

4人の歌声を何度も何度も何度も聴いていたから、3人での歌を聴いたときに違和感を覚えてしまうんじゃないかって、4人の歌を求めてしまうんじゃないかってことが私は怖かった。(それが、「STORY」のツアーを見ることができなかった一番の理由)

でも嫌な違和感は、全然もう感じなかった。

ああここ手越さんのパートだったなあって思い出すことはしても、だから今が物足りないと苦しくなることはなかった。そう思えた自分にほっとしたし嬉しかった。

そして驚いたのが、再度割り振られた新しいパートが、ちゃんと3人に馴染んでいたこと。

特に手越さんのパートをカバーすることが多い増田さんが、ちゃんとその部分も「増田さんの歌」になってたんです。増田さんがまたこの曲に新しい命を吹き込んで、あまた少しだけ違う新たな色にしてくれてした。

それが本当に嬉しかった。

 

挨拶のあと、ラストには「UR not alone」、本当にNEWSにとって欠かせない大事な曲になったよね。またみんなで歌えて嬉しかった(本当NEWS担のみんな歌上手いよね!!!)。3人のURもきれいだったし、改めて沁みる。本当にいい曲だ…
いいライブだったな…………

 

と思っていたら、まさかのこの次にもう一曲待っていた。

せり上がってくるステージ。3人のシルエット。その時に私たちの目に飛び込んできたのは、「白」だった。

巨大モニターも、せり上がるステージに組み込まれたモニターも、映し出すのは白。

 

ステージいっぱいに広がる一面の白を背負って、NEWSの3人が立つ。そして歌い出す。

曲は「劇伴」。

 

途中の曲「Different Lives」でも反芻された映像。「もし別の人生を歩んでいたら?」……それは加藤さんが脚本を務めたショートムービー。もし、彼らがNEWSじゃなかったとして、今頃彼らは何をしていただろう。「if」の場所で彼らは20周年を祝われるのだ。NEWSじゃなかった彼らの人生で。

それでも。

モニターに大きく映し出される3人の姿。それは、この瞬間、アイドルとして、NEWSとして、私達の前でステージに立っている彼らの「今」の姿だ。

何かがほんの少し違ったら。あのときもしも違う選択肢を選んでいたら。そんな瞬間はきっと数え切れないほどあって、今の道を選び取ることに相当の勇気と覚悟を必要としたことだって絶対に沢山あって。

それでも今、この瞬間、この3人が私達の前にいる。アイドルとして、ステージに立っている。

それって星の数ほどあった選択肢の中で、彼らが選び取って辿り着けた今、逆に言えば彼らが何かひとつでも違うものを選んでいたら今のこの景色はなかったと思うから。

それは奇跡めいたもので、しかし全てが定められ流されてたどり着いたわけでもない。

彼ら自身がこの運命を選び取ったから。そうやって今に辿り着くための強さと覚悟があったから。

 

NEWSという運命を選んだ。

だから彼らはこの白を背負った。その覚悟をもって。

 

20年、美しい瞬間だけではきっといられなかった物語の中で、翻弄され悩み苦しんだことも数え切れないほどあっただろうその年月を重ねてなお、彼らは穢されない純白を湛えた。

その白が、本当に美しかったんですよね。

 

歌い終わって、再び真っ白になったモニターに文字が映し出された。それがこのライブの最後の言葉だ。

 

——色んな選択肢があった。

——それでも僕らは、この運命を選んだ。

“NEWS”

 

 

ライブから帰宅して、NEWSのライブが見たくなって、久しぶりに見ようとBDを引っ張り出した。何を見ようか少し迷って、私の手が伸びたのは私がNEWSを好きになった原点である、大好きなライブ「NEVERLAND」。

再生しながら、何度見ても、何年経ってもやっっっぱ最高だな!!!!!と思うと同時に、あの頃とは色んな事が変わったなあと思わされもした。それはNEWSのこともそうだし、バックについてくれたJr.たちのこと、周りのオタク友達のこと、自分のこと、その他世界のあらゆること。

あの頃、私はめちゃくちゃ楽しかった。オタクとして最高に楽しかったし、あの頃本当に楽しかったなあ…と思う。

今まで何度も見たこのBD。時にはそれで寂しくなってしまうかも、という気持ちもあって再生を躊躇った時期もあったし、今日も少しだけそんな思いがよぎったけれど、実際は全然、悪い意味での寂しさはなかった。懐かしさや、失ったものを数えて少しだけ切ない気持ちにはなったけれど、それでも「あの頃幸せだった」という思いの方が上回った。

 

そう思えたのは、間違いなく、今日が幸せだったからだ。

今日、横浜アリーナで彼らも笑っていたし、私たちも笑っていた。本当に純粋に、今日のライブが楽しくて幸せだったから。

そう思えたのだから、失ったものが、取り戻せないものがいくつあったって、「もしあの時」という思いがよぎることがあったって。

 

彼らが、私たちがいる今はきっと悪くはない。

それを正解にしてきたのは、この運命を選んだ彼らであり、この運命で生きて今日まで辿り着いた、私たち自身なのだ。